木戸孝允に捧げる詩









出遭い■■■


孤独の殻に閉じこもっていたとき
人生の明日が見えなくなったとき
突然 眼の前をよぎった
あなたの蒼い影



あの日 あなたにめぐり遭った


100年以上の昔 この日本に生きていた人
激動の時代に 国家存亡のときに
わずかな仲間とともに 身命を賭して
立ち上がった人


最大の政敵と結び
思想相容れぬ者と廟堂に並び立ち
現実と理想の狭間で悶え 苦しみ
在野で生きることを望みつつ
なお責任の重さに あなたは耐えた


あなたは創業の人
あなたは信念の人
あなたは情愛の人


あなたの苦しみは あなたにしかわからない


けれども今 一世紀余のときを超えて
わたしはあなたに伝えたい


あなたの苦しみも 哀しみも
あなたの長所も 短所も
あなたの成功も 失敗も


あなたのすべてを受け容れる者が
ここにいることを


生きてくれて ありがとう
愛してくれて ありがとう


なにもかたちはないけれど
ささやかな幸せを ありがとう


今はそれだけで
わたしは生きていける


あなたを生んだ
歴史の奇跡を抱きしめて



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