木戸孝允に捧げる詩


あなたを想うとき





心に風が吹くとき
あなたを想う
明日の路に迷うとき
あなたを想う


ある日 わたしは
凍てつく冬の夜空を見上げ
数多の星の中から
ひとつの星に 眼をとめた


その星はシリウスのように
まばゆく輝くでもなく
天球の中心に位置するわけでもなく
夜空の片すみで 遠慮がちに
かすかな光を放つのみであった


でも そのほのかな光は
すべての星のうちでも 一番温かく
一番やさしく 一番うつくしく
わたしの眸の中で
夜ごと 輝きを増していった


やがてその星は
わが心に宿り その暗部を照らし
冷えた指先に 熱い血をかよわせ
朽ちた夢を よみがえらせ
生きる力を あたえ
その深遠なる意味を悟らせ
崖淵にたたずむわたしを
しっかりと しっかりと 支えた


もう だいじょうぶ


わが人生にいくたび冬がめぐり
いくたび希望を失おうとも
わたしはだいじょうぶ


ひとりでもいい
日々心を温める星に 出遭ったから


愛されなくてもいい
愛する喜びを 知ったから


昨日も 今日も 明日も
いつもあなたに 逢えるから


わたしは だいじょうぶ
愛する感動を 知ったから






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